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初期パンク時代の奇跡のバンド、「FAST CARS(ファストカーズ)」。このバンドのシングルを聴いていなかったら、きっと僕は初期パンクにもはまらなかっただろうし、POWERPOPに興味を示す事も無かったと思います。個人的に思い入れ深いバンドで、新コーナー第1回に紹介しようと思ってました。
FAST CARSは1978年の初期パンク全盛期にシングルを1枚、オムニバス参加1枚の音源を残して解散した、いわゆる「初期パンク有象無象」バンドだったわけです。イギリスのマンチェスターのバンドで、バンド名はBUZZCOCKSの1stアルバム収録曲からとったのではないかと言われています。
FAST CARSの音はひとことで言ってしまえば「極上のメロディーを持った完璧なパンクロックサウンド」。失踪感あふれるビートに乗せて、ポップでキャッチーながら哀愁も少し入ったイギリス風土を感じさせるメロディー、ハイトーンで張りがあり、切れのある早口のボーカル、エレキ!という感じの鋭いギター、ブイブイうなる弾きまくりのベース、そして色鮮やかで手数の多いコミカルなドラム。残された1枚のシングル、たった2曲はこれでもかというくらいの衝撃を僕に与えてくれました。
オリジナルメンバーでFAST CARSは今現在、再び活動を始めています。2002年に発売された新録、(残された)シングル、未発表曲から成るアルバムは、奇跡は2曲ではない事を証明するもので、どれをシングルカットしても遜色ないほど収録曲全てがハイクオリティーな作品です。来日もしました(そのころ知らなかったんで行ってないのです)。
2004年中に新アルバムを出す事も予定されているようです。再来日に強く期待しつつ、いつまでもすごい音を出し続けてほしいバンドです。


THE KIDS JUST WANNA DANCE
Streets Ahead (1979) / 1977 recs(2001) / ドイツのどこか(2003)
single 2曲(ドイツ盤はボーナストラックありらしい)
究極の1枚と表現してしまっていいでしょう。唯一のシングルは名盤と誉れ高いこちら。A面「the kids just wanna dance」はドラマチックなイントロから始まり、怒濤のドラムとたたみかける唄、ハイスピードのまま突入のサビではハンドクラップもはいって大盛り上がりの鋭いハイテンション・パンク。メロディーも素晴らしい。B面「you're so funny」は少し哀愁がはいってこれまた怒濤のハイテンションパンク。メロディーはBUZZCOCKSを感じさせるちょっとフックの聴いた転調がポイント。歌詞は「君はなんてかわいいんだ〜(タイトルのまんまじゃん)」と唄ってるだけなのもご愛嬌(笑)。
オリジナル盤はとんでもないプレミアがついてますが、1977recordsからの再発(歌詞カード、日本語訳付きで最高)、ドイツのレーベルからの再発(ボーナストラックとしてVAマンチェスターコレクション参加曲を追加収録)、下記アルバム等でこの2曲は聴くことができます。


COMING... READY OR NOT!
detour records(2001)
1st album 17曲
イギリスのNEO MODS,POWER POP関連の再発に命を懸けるレーベル(最近のバンドもリリースしてるけど)DETOURからの怒濤のアルバム!!上記シングル2曲、マンチェスターコレクション収録曲より1曲、おそらくそれと同時に録音したと思われる未発表4曲(内1曲isley brothersカバー)、さらに新録10曲からなる、長年かかっての「ファーストアルバム」です(おそらく曲そのものは70年代に書かれたもの)。活動当時と再結成後のを聴き比べても全然遜色無し。40過ぎてなおこの爽やかなパワー、そして声。「全曲いいけど、やっぱりシングル曲がひとつ抜けてます」なんてレベルでなく、まさに全曲最高です。並百のバンドが束になっても敵わない圧倒的なレベルのポップソング集です。メロディーの質がすごく高い上に、リズム隊の独特のアレンジがかっこよく、さらに聴いてて気持ちいいボーカルと、本当にレベルが高いです。
僕は一番初めにこのバンドを聴いちゃったのは良かったのか悪かったのか。このバンド以上の衝撃を求めて今も色んな音源を買いあさっているけれど、この音源以上の衝撃は未だ無し・・・。パンク・モッズ・パワーポップなんて言葉はとりあえず置いておいて、是非とも触れてほしい名盤です。


BEST FRIEND
detour records(2004)
single 2曲
すいませーん紹介が遅れちゃって・・・2004年、待望のFAST CARS新シングル!写真の通りピクチャーレコードで(うれしいですね、こういうのも)登場です。おなじみDETOUR RECORDSから。
A面は2002年録音の新曲。もうこの人たちは幾つになってもこれだけ力漲るパワーポップ・パンクをやってくれるんだから嬉しいですね。緩急自在の組み立ても勿論、あの声も健在。最近のバンドが70'Sっぽくレコーディングしても、妙な新しさが出ちゃうのに、この時代の人たちだとそれが出ないんですよねー、不思議。メロディーの引き出しもまだまだ大丈夫みたいだし、あと100曲くらい残して欲しいです。
B面はまだあったの?Here We Are Todayのオリジナルテイク発掘です(80年録音)。CDの新テイクにくらべてギターリフがカッティング主体になっていたりと大分違います。音質がちょっとデモっぽいのが気になるところですが、そんなのを気にしないほど(どっちだよ)素晴らしい楽曲なのでオーライッ!! さーて2NDアルバムが楽しみでたまりませんね。


EVERYDAY I MAKE ANOTHER MISTAKE single
detour records(2001)
single 2曲
こちらはアルバムからの先行シングル。「EVERYDAY I MAKE ANOTHER MISTAKE」「I'M ALL RIGHT」収録。昔一番やっていた曲のひとつだとか。既に売り切れですが、全く同じテイクでアルバムに収録されています。


TURN ON THE RADIO
1977records(2002)
single 2曲
日本が誇る再発プロジェクト1977recordsから、「アルバムっていったって昔の曲ばかりでさー、再結成して新しい曲はどうなのよ?もう40過ぎのオッサンでしょー?」なんて思っていると土下座したくなるような2002年の新曲シングルがこちら。今なおこれだけのメロディーが書けちゃうのかよ!と驚きの曲「turn on the radio」がA面。程よい疾走感にのせて青臭い哀愁がそのままメロディーになったような怒涛の青春powerpop punk!!。この唄のメロディー、何だよ本当に!どうなってるんだよ!と言いたい。The Kidsシングルみたいな勢いは無いけれど、このバンドの核は勢いじゃなくてメロディーなんだなーと実感できる1枚。B面は来日時のライブ音源で「marching as to war」を収録。もう売ってないかもしれないけど、今度のアルバムに収録されるでしょう。


HERE WE ARE TODAY
1977records(2002)
single 2曲
↑のシングルと同時発売シングル。当時未発表だった曲と、2001年の新曲をシングル化。録音は2001年かな。シングルthe kids〜みたいにスピードなくミドルテンポの聴かせる曲なんですけど、メロディーがとてもよいです。「here we are today」(昔の)「way of the world」(新作)を収録。40過ぎて書く曲がこれかぁ・・・なんという青臭さ(勿論最高のほめ言葉として)でしょう。


A MANCHESTER COLLECTION
OBJECT MUSIC(1979) ブート(2003)
11バンド17曲、内FASTCARS2曲
当時参加した唯一のオムニバス音源。こちらはnat recordsでのみ売っている「怪しいブート」でございます。オリジナルはやはりそれ相応のお値段がするようで・・・。収録曲は「WHY」「WHAT CAN I DO?」なんですが、「WHY」は恐らく同テイク、「WHAT〜」は再録でアルバム収録。まあ、曲自体はアルバムで両方聴けます。ということで、「WHAT〜」オリジナルテイクはこれでしか聴けないわけですが、まあ、その必要は無いかな〜。収録しなかったのもわかるくらい、ちょっと微妙なテイクです。ドイツからの再発シングルにもボーナスとして収録されているようです。ちなみに他のバンドはNEW WAVEよりで、FAST CARSみたいなのを期待してると「あわわ〜」となります。当時対バンしてた仲間みたいなので、空気を感じるという意味ではいいかも知れませんが。

ファストカーズを聴いてみよう!

THE KIDS JUST WANNA DANCE 1979 SINGLE
I'M ALL RIGHT 2001 SINGLE
TURN ON THE RADIO 2002 SINGLE


ファストカーズ関連リンク(オフィシャルだけじゃないか)
FAST CARS HOMEPAGE めちゃくちゃすぎるデザインがトホホながらも中身は超充実のオフィシャルサイト。試聴から写真から当時の活動から・・・。よくライブの日にちまで記録しておいたもんです。(知らないうちに向こうからもリンク貼られてたりしてる・・・)